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不動産賃貸借契約の締結についての基本的事項と注意点

不動産賃貸借契約書の書式は、土地・建物ともに定形の契約書というものがインターネット上や書籍でも多数出回っています。そのような書式の有用性を否定するものではありませんが、通常、そのような書式は、貸す側・借りる側の立場の違いを考慮したものとはなっていません。また、入居者の属性(事業用・居住用等)、物件の特質,賃貸の経緯、特殊事情等を考慮して契約書を作成する必要があります。契約締結時には、安易に定形の書式を利用することも多いと思いますが、後日、トラブルになれば、それを解決するための時間と労力は大変なものとなります。
以下では、ほんの一例ですが、不動産賃貸借契約書の作成時に注意すべき点、基本的事項を簡単に説明してありますので、ご参考にして頂ければと思います。

1. 連帯保証人をつけること

連帯保証人は、賃借人の賃料支払義務、遅延損害金債務、原状回復義務、返還義務等一切の賃借人の債務の履行を確保するために極めて重要です。賃借人の親族、知人、保証会社等に連帯保証人になってもらうようにしましょう。

2. 賃貸借契約の内容

賃貸借契約の内容は一般的に目的物、契約期間、更新についての定め、使用目的、賃料額と支払期限・方法,禁止・制限行為、契約解除、解約、明渡時の原状回復等です。

3. 特約について

不動産賃貸借契約書について、定形の書式を使われることが多いと思いますが、当事者間で合意しさえすれば、賃貸人にとって有利な条項を入れることも可能です。賃借人に十分な説明をする必要はありますが、以下の条項を契約書に入れることでトラブルを軽減し、予期せぬ損害を避けることにも繋がりますので、検討してみるとよいでしょう。

(1)更新料特約

契約更新の際に、更新料の支払を求めたいのならば、予め更新料の支払いを定める特約を結びましょう。一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、高額に過ぎるなど特段の事情がない限り有効とされています。更新料の支払について合意がなければ、更新料は請求できません。

(2)敷引特約

敷引特約とは賃貸借建物の明渡の際に、当然に敷金の何割かを控除し、その余を返還する旨の特約です敷引特約自体は一般的には有効とされています。しかし、一般消費者が賃借人である賃貸借契約における敷引特約は、敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合(※)には、賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り、無効とされます。
※敷引金の額が高額に過ぎるかは、当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額、賃料の額、礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等を考慮して判断されます。

(3)造作買取請求権排除特約

造作とは、建物に付加された物件で賃借人の所有に属し、かつ建物の使用に客観的便益を与えるものをいいます。具体的には、畳、建具などです。裁判例で造作とされたものには「ガス設備、配電設備、水洗便所、シャワー設備」、「レストラン用店舗の調理台、レンジ、食器棚、空調、ボイラー、ダクト等設備一式」などがあります。一方、「一般家庭用ルームエアコン」は造作に該当しないとした裁判例があります。
賃貸人が付加に同意した造作については、契約が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、借主が貸主に対し買取を請求することができます(借地借家法33条)。この造作買取請求権を定める借地借家法33条は任意法規ですので、予め賃借人が造作買取請求権を放棄する旨の特約は有効です。この放棄特約によって貸主は思わぬ負担を回避できます。

(4)有益費償還請求権放棄特約

有益費とは物の保存のために必要な費用ではないが、物を改良し、物の価値を増加する費用をいいます。例えば、建物の壁の塗り替え、屋根の葺き替え、飲食店営業用の賃借店舗におけるカウンターの修理・便所の改造・流し台の増設改良など、改良工事の結果が、賃貸建物の一部として建物の構成部分となり、その所有権が賃貸人に帰属することとなる場合のものをいいます。
賃借人が有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、賃借人に償還しなければいけません(民法608条2項)有益費償還を定める民法608条2項については任意法規と解されているので、予め賃借人が有益費償還請求権を放棄する旨の特約は有効と解されます。この放棄特約によって貸主は思わぬ負担を回避できます。

(5)原状回復義務についての特約(通常損耗補修特約)

賃借物の通常損耗・経年変化については特約ない限り、原状回復義務に含まれず、賃貸人の負担とされますが、「通常損耗補修特約」で賃借人の負担とすることは可能です。但し、特約が有効とされるのは、通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されている場合、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し合意の内容としたと認められる場合など通常損耗補修特約が明確に合意されている場合に限られますので、ご注意下さい。また、一般消費者が賃借人である賃貸借契約においては、当該特約が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するときは消費者契約法10条によって無効となると解されています。※原状回復・敷金の返還をめぐるトラブルを未然に防ぐには、入居時・退去時に賃貸人・賃借人双方が立ち会い、建物の状況を確認し、チェックリストを作成することが重要です。併せて契約時には、修繕・原状回復の範囲、負担者をできるだけ詳細に決めておきましょう。その際には、国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にするとよいでしょう。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

(6)賃料自動改定特約(賃料増額)

賃料を一定の基準によって,自動的に改定し増額する特約です。
例えば、賃料を〇年ごとに〇パーセント増額する旨の特約です。この特約はその賃料改定基準が借地借家法32条1項の規定する経済事情の変動等を示す指標(※)に基づく相当なものである場合に限って、効力を認められます。この特約によって、増額交渉を行う手間を省けます。
※土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動

(7)ペット飼育禁止特約

賃借人が無制限にペットを飼うと居室を傷めたり、匂いが染みつくなどの危険性が高まります。また、異臭、騒音、共用部分の利用なので他の賃借人にも迷惑・危害を及ぼす危険が高まります。大家さんとしては、できればこのような事態を避けたいところです。対策として賃貸借契約にペット飼育禁止特約を入れるとよいでしょう。一般に裁判例はペット飼育禁止条項の有効性を認めています。ただ、当該条項の違反があっても直ちに契約解除を認めるのではなく、他の要素も考慮し、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されるに至ったと認められる場合に契約解除を認めています。ペット飼育禁止条項を契約書に記載する場合には、具体的にどのようなペットの飼育が禁止されるのかを明記して将来の争いが生じないように注意しましょう。

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